「日本の品質」=「裏側に込められた技術や工夫、こだわり」
簡単に言うと、きめの細かさだと思う。“気遣い”それから“安い”こと。
厳しい環境の中で物をつくってきているから、余計なことにお金を使っていない。
高品質なものが安く提供されている事は素晴らしいですよね。
利益を極力に押さえ込んで物を作っている日本のブランドの清らかさというものは、日本人の我々が一番享受できる立場にあるし、強さに変わったりするのかなって思います。
「日本の品質」=「独自の永遠」
最近経験したことで、伊勢神宮の遷宮のときに“お白石持ち行事”※というのに参加させていただいた。
“エタニティ”“永遠”というテーマを、ヨーロッパは石で表現する。永遠に壊れないものが石だから。
日本にとっての永遠は違う。
石を作り直していく。二十年に一回。作り直す。
それってすごくて、物質的な事だけではなくて、二十年後に職人が同じ物を作らないといけない。
詳しく話を聞くと、大工さんの世代が分かれていて三十代の若手の大工さんが二十年後には五十代な訳です。
次の十代の人が三十代になっていて、それを継承していくんです。
これが日本にとっての永遠なんですよね。
物とかに頼らなくても、技と物があればすぐにそれが再現できるっていう概念がすごくモダンだと僕は思って、強いものを作って“これが壊れない”という事よりも、すごくクレバーだと思っているんです。
大人しいのではなくて、自分のことだけじゃなくて、その後の事も考えている。本能的に。
そういう強さ。戦いで言うならば「切っても切ってもでてくるぜ」みたいな、そういう強さは独特の文化だと思う。
日本人にとっては新しくないのだけれど、欧米の人に概念を伝えるとびっくりされる。
そういったことを我々がもう一度勉強することで、世界に新しい概念を提示できると思います。
“お白石持行事”とは、新しい御正殿の敷地に敷き詰める「お白石」を、宮川より拾い集め、奉曳車・ 木そりに乗せ、沿道や川を練り進み、奉献する民俗行事。二十年に一回の頻度で執り行われることになっている。